ウェブ運用の現場を見ていて気づいたことなのですが「ホームページはデザインがよければユーザーが増える」と思っている方が一定数存在するということです。以下は推測になりますが、そのような考えの背景にはおそらくデザイン「ウェブサイトは病院の顔になるPR手段なのでデザインが良ければアクセス数が伸びる」という考え方が存在するのだと思います。
企業ウェブサイトは、芸術作品では無いので、「かっこいいものが良い」という訳ではありません。たとえば、地元のアットホームな工務店の企業ウェブサイトが、最先端の海外のIT企業のような派手なデザインのウェブサイトであったら、それを見たお客様はどのように感じるでしょうか?ウェブサイトの見た目は最先端でかっこいいかもしれませんが、それを見て、「壊れた窓サッシを直してもらいたい」という問い合わせをしたいと思うでしょうか?
ハードルが高く感じて、問い合わせをすることを躊躇してしまうかもしれません。 実際、弊社のクライアント企業様でも、企業ウェブサイトを洗練された美しいデザインにした結果、ウェブサイトからの問い合わせ数が落ちてしまい、手作り感のある親しみやすいデザインに戻したということもありました。 繰り返しになりますが、「経営者の好み」や「デザイナーの好み」は一旦置いておきましょう。「自社のターゲット顧客像」のことを第一に徹底的に考え抜いて、「かっこいいか」ではなく「お客様がどう思うか」について議論をし、デザインを作っていくべきです。
また、見た目と同じく「使いやすさ=ユーザビリティ」という観点も、企業ウェブサイトのデザインにおいては、非常に重要なポイントです。ユーザビリティを表現する用語として、最近では、UI というような言葉も、よく耳にするようになりました。 UIとは、User Interface(ユーザーインターフェース)の略で、コンピュータなどの機械と、その利用者の間での情報をやりとりするための接点のことです。
企業ウェブサイトにおいては、ナビゲーションメニューや、画面レイアウト、入力フォームやボタンなど、訪問者がウェブサイトを操作する際に接する部分のことを指します。 スマートフォンなど最近の電子機器は、取り扱い説明書が無い場合が多いですよね?優れたUIは、そのジャンルの製品の基準となって、他社の製品も概ね同じようなUIになります。人間として「使いやすい形」「使いやすいやり方」というのは、多くの人に共有で備わっている共通感覚なのです。 自動車も、ハンドル・アクセス・ブレーキ・ギア・ウィンカー・ライトなど、どの車種であったとしても、あまり迷わずに運転をすることができるのは、優れたUIが自動車メーカーの標準として定着した結果であると言えます。 企業ウェブサイトにおいても、初めてウェブサイトに来てくれた訪問者に対して、自然に迷わずに快適に閲覧してもらうようなUIを意識したデザインにすることが大切です。
たとえば、「ボタンはどのようなサイズや装飾が良いのか」「入力フォームはどのような構成と動きにした方が良いのか」「1行の文字数は何文字程度が良いのか」「文章の行間はどの程度あけた方が良いのか」「次ページへの回遊誘導導線はどのようにするのが良いのか」「スマートフォンとPCの両方で見やすいサイトにするためにはどうすれば良いのか」など、UIの観点で考えた際に、考慮をするべき事項は数多くあります。
もしこのような議論になることがあったらデザインを話し合う前にホームページの役割について一度考えてみることをお勧めします。
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